頂上を諦めると人生が楽しくなる!下山したサラリーマンの話

最近「エベレストの山頂付近が渋滞している」という、一瞬意味不明なニュースを見ました。そのニュースには、エベレストの頂上へ続く経路が登山者たちで渋滞している写真が、載っていました。
エベレスト「死のゾーン」で「渋滞」、生還者が規制強化訴え

中には渋滞待ちしている間に、酸素が少なくなり、登頂を諦めざるを得なかった登山者もいたそうです。

日本の富士山でも似たような話を聞きました。ある友人が富士山の山頂で、日の出を見るために登山したそうです。ところが、同じ目的の登山客で、山頂が混み過ぎていて、日の出の時刻に頂上に入れず、結局、登山道で日の出を見ることになったそうです。

高山の登頂のためには、訓練や準備、お金などたくさんの犠牲を払う必要があります。それにもかかわらず、頂上に登れない理由が混んでるからというのは、とっても虚しいですよね。

今の日本社会も、似たようなことが起きている気がします。

日本の経済成長が鈍る中で、ビジネスでトップになったり、経済的に成功できる人は僅かです。それにもかかわらず、必要な犠牲は、とっても大きいものです。

今の日本社会は、僅かな人しか登れない頂上を目指しても、犠牲ばかりな気がします。むしろ、自分にとってちょうど良い場所を目指して下山することの方が、バランスが取れた豊かで平和な人生が送れるのではないでしょうか?

そこで、それを身をもって実践した、私の話をしたいと思います。

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頂上を目指す理由が分からなかった頃の自分

元々、私は大手携帯電話会社でシステムエンジニアをしていました。

自分で言うのもなんですが、安定を絵に描いたような会社だったと思います。自分でもこれで定年退職までは、安泰だなと思っていました。

しかし、会社は巨大で安定していても、日々の仕事は過酷でした。

日本の携帯電話市場は、既に飽和状態です。やっていることは、ライバルとのお客の奪い合いです。

だから、少しでも安い価格でサービスを提供するために、コストカットを要求されます。そして、ライバルよりも迅速にサービスを提供するために、短期間でのシステム開発を求められます。

社内の他部門も同じなので、打ち合わせをしても、責任を押し付け合っていました。

常にプレッシャーの多い職場だったため、同僚たちの中には、心や体の健康を崩して、休職したり辞めていく人も多かったです。

そんな仕事を続けていると、やがてこう思うようになりました。

  • 「人間のための携帯電話システムなのに、病人を生んでまで頑張る必要はあるのだろうか…」
  • 「業界トップにこだわるのって何のためなんだろう?誰がそれを望んでいるんだっけ?」

別に努力したくないわけではありません。仕事は適用で済ませたいなんて、思ったこともありません。

でも、目的も理由も説明されず、ただただ当然のように頂上を目標にされるのが辛かったんです。

しかし、それが分かったのは、つい最近のことです。当時の私は、自分自身でも辛い理由が、分かってなかったのだと思います。

結局、私は2016年の6月にストレスでうつ病になり、同時に持病の心臓病が悪化して、休職することになりました。

休職するまでの私の人生も、ひたすら頂上を目指すものでした。周りからそれを期待され、自分でもそれが当然と思っていました。そんな私にとって、仕事ができなくなることは、社会人失格に等しいことでした。これから、どうやって生活していったらいいのか?不安でしょうがなかったです。

私の人生の登山は、持病の悪化により、下山を余儀なくされてしまったのです。

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下山を開始した頃の自分

休職した理由が、うつ病と心臓病だったので、復職できる自信がありませんでした。そこで、1年前から運営していたブログを頑張ることにしました。

数万円でも収入があれば、生活の不安はかなり少なくなるはずだと考え、コツコツと頑張りました。今振り返ると、ブログなんかに希望を託すなんて、無謀過ぎると思いますけど(^^;

でも、そのコツコツと地道に努力した結果、徐々に収益も増えていきました。『もしかしたら、ブログで暮らしていけるかも…』と思えるようになりました。

しかし、それまで、巨大な携帯電話システムの開発をしていた自分にとって、”ブロガー”なんて職業と呼べるようなものではありませんでした。「仕事は何ですか?」と聞かれた時に、”ブロガー”なんて恥ずかしくて言えないって、最初は思ってたんです。

“頂上なんて目指したくない!”って思ってたはずなのに、その時には、登頂への未練があったのかもしれません。

でも、それもだんだん変わっていきました。ありがたいことに、その後も順調に収益は増え続け、本当にブログだけで、何とか生活できそうな収益になったのです。

その頃には、うつ病も心臓の状態も、ほぼ元通りに回復していました。復職するかどうかを考える時が来たのです。

しかし、他人から強制されて、頂上を目指す人生なんて、もう自分には無理だと思いました。登るのをやめて、完全に下山することを決めた私は、復職することは選ばずに、会社を辞めることにしました。

ちょうど、その時に、神山典士さんというノンフィクション作家さんから、取材を受けて『成功する里山ビジネス~ダウンシフトという選択』という本に、私のことを書いていただきました。

まさに”下山すること”をテーマにした本に、このタイミングで偶然に書いてもらったのです。

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今の暮らし

会社を辞めた直後、夫婦で今後のことを話し合いました。

  • 東京に住まなければいけない理由が無くなった事
  • 住んでいる家を貸せば家賃収入になる事
  • もっとゆっくりした生活がしたい事

などの理由から、どこか地方に移住しようと決めました。

本当は田舎暮らしがしたかったのですが、東京の都心で生活していた人間が、いきなりそんなことをするのは、リスクが高いですよね?それに、妻も仕事が見つけやすい所がいいので、移住先はある程度大きい都市にすることにしました。

そして、選んだのが宮城県仙台市でした。仙台はコンパクトで、東京にあるものは仙台にもあります。15分くらい車で走れば、自然豊かな場所や温泉があります。

以前からやりたかった、家庭菜園も実現しました。

仙台に移住した直後に、ブログの実績を買われて、PRIDEというコミュニティで、講師としてブログ運営のノウハウを教える仕事のオファーもいただきました。

講師業は今も続けながら、新しく個人事業主や中小企業者の集客をお手伝いする仕事も始めています。

正直、収入はサラリーマン時代より減りました。でも、仕事は好きな時間に好きな場所でできます。人生は、全て自分でコントロールできています。我ながら良いライフスタイルになったなと思います。なぜなら、昔と違って、自分で選んで勝ち取った生活です。

でも、きっとこれは、私の最終的な下山先ではないのだと思います。何しろ、麓というのは、無限に近いくらい広い場所なので…。

まだまだ、これからも自分にとって、最適なライフスタイルを求めて、あちこち彷徨うことになりそうです。

でも、どこに行くにしても、自分で選んだ場所ですけどね(^^♪

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最後に…

頂上は誰からでも見える、分かりやすい場所です。そして、そこはとっても魅力的に見えるでしょう。

でも、狭くてそこに立って、達成感を味わえる人は僅かです。そして、後から登ってくる人が絶えないため、そこに居続けることは困難です。なによりも、そこに上るためにはたくさんの犠牲を払い、競争に勝たなくてはいけません。

一方で、下山して麓に降りてくると、そこはありふれてて、魅力的には見えないかもしれません。しかし、混んでないし、競争する必要もありません。

ただし、麓は無限に近いくらい広い場所です。自分に合った場所を探すだけでも大変かもしれません。あまりにも色んな選択肢があり過ぎて、時には不安や寂しさを感じるかもしれません。

でも、それを上回る、楽しさや充実感があると思います。一人でも多くの人に、それを知って欲しいなと思います(^^)/

あなたも登るのに疲れたら、キッパリと下山を始めてみませんか?頂上を見れないのは、残念ですけど、やっぱり麓の方が広くて楽しいですよ!

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