
「故郷はどこですか?」と聞かれたら、あなたはどこだと答えますか?
実は私はその質問に対して、上手に答えることができませんでした。私5歳の時から東京に住んでいます。だから「出身地はどこですか?」と聞かれれば、当然”東京”と応えます。
しかし、少し前までは、”故郷は?”と聞かれると、正直悩みました。
なぜなら“東京を故郷だと思ってないから”です。もっと言うなら、故郷を懐かしく感じる感覚もよく分からなかったんです。
“盆暮れ正月”に里帰りする、友人たちを見ても、”癒される場所があって羨ましいな”くらいにしか思ってませんでした。
これを読んでいるあなたも、もしかすると東京を故郷と思えない人かもしれませんね。
実は私は2017年に仙台に移住しました。飽き飽きしていた東京を抜け出して、全く新しい土地での生活は新鮮で毎日が楽しかったです。
でも、1年くらい経つと、なんとなく寂しいような物足りないような気持ちを、感じるようになってきました。
実はそれこそが郷愁だったんです!
もし、あなたが東京を故郷と感じられなくても、それは当然のことかもしれませんよ。
というわけで、今回は東京を故郷と感じられない理由を考えてみます。
もくじ
東京出身者の4割は故郷が無いと思っている!
私は長年、ノスタルジックな気分に浸れる場所が、ありませんでした。
故郷と呼べる場所の条件には、“豊かな自然”、“小さい頃から変わらない”、“懐かしい友人”というイメージがあります。どれも東京には期待できないものばかりです。
だから、出身地は東京でも、故郷ではあり得ないと思っていました。
そして、これは私だけではないようです。
AERAdotの「東京は故郷ではない? 東京出身者の4割が「故郷がない」と認識」という記事によると、東京出身者の4割が、自分には故郷が無いと考えているそうです。
この調査では「故郷にあったら良いと思うものは何か」という質問をしています。その回答のベスト3はこうでした。
- 豊かな自然
- 気の合う友達
- 美味しい郷土料理
確かに東京には、どれも存在しないかもしれませんね。
自然は乏しいのは、どうしようもありません。
住人も頻繁に入れ替わるため、友達もどこかに引っ越して連絡がつかなくなります。私は小中学校の同窓会が、開かれたことはありません。
それに東京では、日本だけでなく、世界中の料理が食べられます。郷土料理という概念が存在しないくらいです。
実は私が東京を故郷と感じられない理由が、まさにこのようなものでした。
あなたも、いくつかは当てはまるのではないでしょうか?
でも、たとえそうだとしても、やっぱり東京はあなたにとっての故郷のはずです。
なぜなら、故郷の本当の条件は、上記のようなものではないからです。
じゃあ、本当の故郷ってどのような場所なんでしょうか?
本当の故郷ってどんなもの?
故郷はどのようなものかと聞かれると、自然や食べ物など、環境や物事をイメージしがちです。
でも、実際には故郷の良さを感じさせるものは、精神的なものなんです。自然とか食べ物は、それを感じさせるための、きっかけに過ぎません。
それでは、故郷を感じさせる精神的なものとは、どのようなものなんでしょうか?
癒しがある
故郷は癒しを感じさせてくれます。
癒しを感じさせる物事は、色々あります。
- 自然
- 親兄弟
- 友人
- 好きな食べ物
- 慣れ親しんだ場所
別に全部揃っている必要はありません。要は癒しが感じられれば良いんです。
自然は癒しに繋がる大きなものなので、故郷の条件として大きなものです。でも、“絶対にそれが無ければいけない”なんてものでもありません。
東京を故郷と感じられない人は、“全部揃ってないと故郷じゃない”と自分で基準を、高くしてしまっているように感じます。
感謝がある
もう一つ重要なものに、感謝があります。
故郷には自分を育ててくれたことに関する、感謝が存在します。
例えばこのようなものです。
- 小学校や中学校などの母校(先生や友人に対する感謝)
- 想い出の場所(お世話になった人への感謝)
- 辛い思い出のある場所(励ましたり慰めてくれた人への感謝)
思い出がある場所には、実は必ず感謝が存在します。
人によって、感謝を感じる場所は様々ですし、場所じゃないかもしれません。
やっぱり、これも自然とか料理とは、直接関係しないものなんです。
だから、故郷の条件は、癒しと感謝です。そして、全ての人はこんなことは心の底で、無意識に理解しているのだと思います。
それでも、東京を故郷と感じられないことには、もう一つ別の理由があります。
それは私自身が、物心ついた時から、ずっと東京で生活していたことと関係します。
今度は私の場合の例を紹介しながら、そのことを説明します。
やっぱり東京は故郷
冒頭にも書きましたが、私自身も故郷が無いと感じる人でした。
実はこんな記事を書くくらい、東京生活に疲れ切っていました。
東京暮らしに疲れたと感じてる人は多いかもしれません。 実は私もすっかり疲弊してしまい、東京から仙台に移住しました。 いったいなぜ東京暮らしは疲れるのでしょうか? その理由を掘り下げていくと根底にあるものが見えてきました。 そこで、ここでは東京暮らしが疲れる理由とその対処法をお伝えします。
でも、たまに東京に戻ってくると、感じたことが無い気持ちを持つようになりました。実はそれこそが『郷愁』だったんです。
とは言え、東京なんて故郷だとは思ってなかったんで、最初はその気持ちが、自分でも理解不能でした。
今の私にとっての東京
でも、今ではやっぱり東京は、私にとっての故郷なんだと、つくづく感じています。
故郷とは感じられそうにない場所ですが、癒しと感謝がちゃんと存在するからです。
その癒しと感謝とは、このようなものです。
- 好きな物がたくさんある
- 良い思い出がたくさんある
- 悪い思い出は感謝に変わっている
- 友達はたくさんいる
東京には私が好きな物がたくさんあります。
例えば、私は中本の20年来のファンです。移住する時は、これが食べられなくなるのが、唯一の未練でした…
白根さん、早く仙台にも出店してくださいね…。
他にも好きな食べ物はたくさんありますし、好きな場所もたくさんあります。挙げたらキリが無いです。
小さい頃遊びまわった近所の神社や、小学校や中学校の跡地(都会なので、生徒が少なくなって廃校になりました…)なんかには、当然楽しい思い出がたくさんあります。
友達と遊んだ場所とか、最初に就職した会社とか、彼女とデートした場所などなど、東京中に良い思い出があります。
逆に悲しかったり、辛い思い出もたくさんあります。
でも、なぜか悲しみや辛さは忘れて、感謝だけが残っています。
以前、勤めていた会社は、ただただ辛くて早く辞めたかったです。
胸を張れるような仕事ができず、迷惑ばかりかけていたように思います。でも、同僚はみんないい人達で、私をいつも助けてくれました。
今は、そんな大変だった記憶は薄れて、ただ感謝しかありません。
幼馴染はみんな引越してしまい音信不通です…。でも、大学や社会人になってからの友達は大勢います。
みんな私を助けてくれた、信頼できる人たちばかりです。東京に戻って、その人たちに会うと、とても楽しくて励まされます。
友達は幼馴染である必要はありません。
このように私にとって、東京はちゃんとした故郷だったんです。
それにもかかわらず、東京を故郷と思えなかったのは、なぜなんでしょうか?
故郷はそこから離れた時にできるもの!
そもそも、故郷ってその場所から離れた時に、できるものではないでしょうか?
東京で生まれ育った人が、ずっと東京に住んでいたら、懐かしいなんて気持ちは持たないと思います。
故郷を想う気持ちというのは、遠くの土地に住んでみなければ、感じることができないものです。
東京出身者が、東京を故郷と思えないのは、単に郷愁を感じたことが、無いからではないでしょうか?
だから、“故郷が存在しない”のではなく、”まだできてない”だけではないかと思います!
まとめ
私はよく東京は、ブラックホールみたいな場所だなぁと思います。
一度東京に住むと、様々な理由で東京から抜け出れなくなります。最初から東京生まれの人であれば、一度も東京以外の場所に住んだことが無い、なんてことにもなります。
そのような人にとっては、東京を故郷と感じられなくなるのは、当たり前なのかもしれません。
もし、あなたが東京を故郷と感じられなくても、それは自然な事だと思います。
私の場合は40歳を過ぎてから、故郷の存在を実感することができました。それでも、自分は幸せだなと思います。東京から抜け出ることができなければ、一生故郷の存在を実感できなかったかもしれません。
今は故郷がある人生は、やっぱり幸せなものだと思います。
もし、あなたが故郷の存在を実感したいのであれば、東京から抜け出る必要があるかもしれませんね。そうだとしたら、ぜひ、新しい一歩を踏み出してみてください…。