高年齢児の特別養子縁組における愛着形成の難しさ 毎日の体験からお伝えします | あの雲を越えて
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やふひち

1975年生まれのクリスチャンITエンジニア

色々あって今は特別養子縁組で迎えた息子と妻と、可愛いトイプードルとの3人+1匹暮らしです。

暗中模索の毎日ですが、ユニークで素敵な毎日を過ごしています。

高年齢児の特別養子縁組における愛着形成の難しさ 毎日の体験からお伝えします

公開日:

養子や里子でよく問題として扱われるのが、愛着障害ですよね。

本来、実親さんに育てられていれば自然に与えられる愛情や親密な関係が無いことでできてしまうものと言われています。一般的に高年齢児の方が愛着形成が難しいと言われているため、これも乳幼児の特別養子縁組を希望する人が多い理由の一つかもしれません。

私たち夫婦の場合は、8歳の男の子を紹介されたため、最初に感じた不安はやはり愛着形成が難しいのではないかというものでした。

実際にうちに迎えてからはどうだったかというと、やっぱり大変でしたw

8歳までに形成されてしまった愛着障害の一部は一生消えないのかもしれません。でも、多くの部分は少しずつ消えているのも事実です。

今回は私たちの日々の体験から、愛着形成の難しさとそれを解消するためにやっていることをお伝えします。

高年齢児の愛着形成は難しい

私たちも”高年齢児の方が愛着形成は難しい”と言われている中で、息子を迎えたので最初は不安でした。

しかし、うちに来てから1ヵ月も経たないうちに、私たちを”お父さん””お母さん”と呼んでくれるようになり、わがまま放題になったのを見て、取り越し苦労だったのかなと思いました。

でも、それは単に私たちとの関係に慣れてきただけで、深い部分にある愛着障害とは別のものなんだと程なくして気付きました。

多分皆さんは愛着障害と言われても、具体的にどのようなものかイメージしづらいと思います。(実は私もよく分かってないのですがw)

というわけで、息子との関係から、私たちが感じている愛着形成の難しさをお伝えします。

親密な関係が条件付き

息子は出産後すぐ病院に置き去りにされてしまったそうです。そのため、生まれてすぐに乳児院に預けられ、私たちが迎えるまでずっと児童養護施設で生活していました。

小学生になると実親さんの家庭で生活できるように交流が始まったそうです。その交流の中で勉強を頑張ること、宿題をやることを厳しく求められ、できないと食事を抜かれることもあったそうです。実親さんは息子の将来を心配してやったことだと思いますが、それは彼にとって大きな心の傷になったようです。

息子をうちに迎えてからも感情が不安定で、特に宿題をやる時に分からなくてできないと癇癪を起こしてしまいます。”癇癪を起こして物に当たるくらいなら、宿題なんてやらなくてもいいよ”と何度も伝えましたが、頑なに宿題をやろうとして、そのたびに癇癪を起こす息子に非常に悩まされました。

「宿題も勉強も頑張らなくていい」という私たちの言葉よりも、実親さんから無意識のうちに与えられた「勉強や宿題を頑張らなければ一緒に暮らせない」という間違ったメッセージが強力に彼を支配していたのだと思います。

普通の子供は親から、無条件に親密で安心できる関係を与えられることで、自分には安全で安心できる関係や場所があるという基本的な自信・安定した心が作られます。

しかし、息子は多くの場合、親密な関係は”条件付き”で与えられました。

“私たちの関係は無条件だよ”というメッセージを言葉でも態度でも伝え続ける必要がありました。

他人との物理的・精神的な距離が不適切

施設の職員の方たちはみんな愛情を注いで育ててくれましたが、たくさんいる子供をケアする必要がありますし、勤務時間が終われば帰宅してしまいます。

一人一人へのケアや感情的な充足は、普通の家庭と比べるとどうしても乏しくなります。そうなると、自分に必要なケアや物事を得るためには、無理やりにでも自分に注意を向ける必要が出てきます。

それは単なるわがままとは違う、歪んだ行為に現れるようです。例えば、わざと物を壊したり、自傷行為をしたりなどです。

うちの息子の場合は、日常的にとにかくしつこく要求してきます。ダメと言ってもしつこく要求し続け、息子と別の部屋に逃げてもしつこく追いかけてきます。しまいには怒ってりつけると、今度はいじけて”自分は愛される資格がない人間なんだ”などとブツブツつぶやき始めます。

また、乳児期に実親さんから適切なケアを受けていないせいか、スキンシップを執拗に求めてきます。何度も何度もハグを求めてきたり、膝の上に座りたがります。人との物理的な距離も近寄り過ぎる傾向があり、人がスマホやテレビ画面を見ていると、顔をグッと近づけて驚かれることがしばしばあります。

小さい子供のうちは人懐っこい可愛らしい子供で済んでいましたが、思春期になってくると男らしい体臭も漂い始めますし、体重も重くなってくるので普通に苦しいのですw

とは言え、乳幼児期に当然満たされるはずだったニーズが不足していることが理由なので、足がしびれようが、汗の臭いが気になろうが、頑張ってスキンシップするようにしています。

人の目の奴隷

息子が育った児童養護施設は、常に他の子供たちがいましたし、施設の職員も転職や異動で、不定期に入れ替わる環境でした。

常に他人の目があったため、自分がやることはいつも見られていました。自分がやったいいことも悪いことも無意識のうちに人と比較してしまう環境だったと思います。

そのため、友達に言われたことをとても気にしますし、持ち物や服装なども友達と同じレベルであることを強く求めます。

“お父さんもお母さんもありのままで受け入れてるんだから友達の目なんか気にしないでいいんだよ”なんて言ってもダメです。

普通の子供もある程度は、友達の目を気にすると思いますが、うちの息子の場合は非常に頑なで、強い不安からそうしているように見えます。

愛着形成のために心がけていること

私たちの息子の場合、実親さんと一緒に暮らした時間は、ごく僅かなので虐待と言えるようなものは受けていませんでした。難しい心の傷も無いだろうと楽観していました。

でも、愛着形成というものは、親から適切な養育を受けることで作られるものです。8歳まで児童養護施設で育った息子には、しっかりと愛着障害がありました。

そんな息子に対してできる一番のことは忍耐して愛し続けることです。

そこで、私たちは日常的にこのようなことを意識しています。

絶対に安全だというメッセージを伝える

息子が受けてきたケアや愛は、十分ではなく時には”条件付き”のものでした。

中でも一番強烈に傷になっているのは、実親さんからの”勉強を頑張らないと一緒に暮らせない”というメッセージです。もちろんこんな直接的な言葉で言われたわけではないのですが、実際に息子にはこのようなメッセージとして残ってしまいました。

そこで、私たちはことあるごとに「どんなに成績が悪くても、悪さばかりして学校から呼び出されても、不登校になっても、ずっと一緒だよ」と言葉で伝えています。1回や2回伝えただけで、心の中の悪いメッセージは消えないので、”条件付きな親子関係”を感じさせないように心がけています。

また悪いことをした時のペナルティの与え方にも注意しています。食事を抜いたり、正座させたり、部屋に閉じ込めて自由を奪ったりはしません。(これらは立派な虐待なので当たり前ですが)

ペナルティを与えたい時はSwitch2やTVなどの楽しみを制限しています。そして、ペナルティを与えたら与えっぱなしにせず、息子の気持ちが落ち着いた後に、彼の言い分も聞いて、必要ならこちらも謝ることでお互いに納得して終わるようにしています。

愛着障害がある子供にはしつけや指導は”親子関係の断絶”を感じさせやすく難しいのですが、全くやらないわけにはいきません。そのため、最後は必ず関係が元通りになると印象付けるようにしています。

不足しているニーズを満たす

既に書きましたが、息子の場合、病院からすぐに乳児院に預けられてしまったため、親から抱っこされるなどのスキンシップが無く育ちました。

そのせいなのか、思春期の入り口ほどの年齢になっても、過度にスキンシップを求めてきます。精神年齢も2~3歳くらい幼く感じます。

だからと言って、”もうすぐ中学生なんだから”とか”男の子のくせに”なんてことは言わずに、ハグをしたり、幼稚なやり取りに付き合ったりして、彼が満たされてこなかったニーズを、今私たちが満たしてあげるように意識しています。

最後に

特別養子縁組は血がつながっていない子供と親子になって、最後まで責任を持って育て上げるという制度です。

それだけでもプレッシャーや不安を感じるのに、さらに子供の愛着障害のことも考えなければならないとなると、大変に感じるのは当然だと思います。

でも、うちの場合は、日を重ねるごとに普通の親子になっている実感があります。

一言で愛着障害と言っても、子供によってその形は様々だと思います。私と息子の関係で役に立ったことも、他のケースでは効果が無いかもしれません。だから、結局は忍耐して愛し続けることで、乗り越えるしかないと思います。

でも、それが子供との関係を少しずつ良くしていくので、信じて前に進めるように、私も祈っています!

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