特別養子縁組体験談!私の経験を紹介します | Being
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やふひち

1975年生まれのクリスチャンITエンジニア

色々あって今は特別養子縁組で迎えた息子と妻と、可愛いトイプードルとの3人+1匹暮らしです。

ITエンジニアとして、成功する方法や自由に生きる方法をお伝えしています。

公開日:

特別養子縁組体験談!私の経験を紹介します

私はクリスチャンなのですが、私の教会には特別養子縁組制度を利用して、子供を迎え入れた友人がたくさんいたため、様々なアドバイスをもらうことができました。

そういう意味では、とても恵まれた環境だったと思います。

でも、日本社会では養子を貰うことは、まだまだ一般的ではないと思います。そのため、特別養子縁組に関する情報はまだまだ少ないようです。血がつながらない子供を迎えるのは、不安ですよね。

そこで、ここでは私が実際に特別養子縁組を成立させるまでの体験談を書いておこうと思います。

少しでも、役に立つように、書いていこうと思います。

特別養子縁組とは?

『特別養子縁組制度』は、生みの親(以下、実親と書きます)と子供の親子関係を解消して、養親(特別養子縁組制度で親になる夫婦)と親子関係を結ぶ制度です。

特別養子縁組制度で親子になると、法律上も実の親子関係と全く同じ扱いを受けることになります。

成立するにはこのような条件があります。

  • 実親の同意
    基本的に実親の承諾が必要になります。ただし、実親の意思が確認できない、子供を虐待しているなど、子供の利益にならない特別な理由がある場合は、家庭裁判所の判断で特別養子縁組が認められる場合があります。
  • 養親が法律上の夫婦であること
    独身者や事実婚のカップルでは養親になる事はできません。
  • 養親の年齢
    夫婦のどちらかが25歳以上、もう一方が20歳以上である必要があります。
  • 子供の年齢
    子供の年齢が15歳未満である必要があります。ただし、それ以前から養親が養育していた場合は18歳までは家庭裁判所に申し立てできるようです。
  • 最低半年間の養育
    特別養子縁組成立のためには、養親が子供を半年間以上養育している必要があります。

このように成立するためには、実親、子供、養親の承諾と、家庭裁判所の審判を経て、認められることが必要になります。ただし、子供が乳児の場合など、意思表示が難しい場合は、家庭裁判所が子供の養育環境を総合的に判断することになります。

基本はこのような条件なのですが、友人たちの経験を聞いていると、細かい例外もあるので、それはこの後書いていきますね。

ちなみに私の場合は、児童相談所を介しての特別養子縁組でしたが、家庭裁判所の審判が終わるまでは、実親さんの気が変わらないように、目立つことは控えるようにアドバイスされました。具体的にはSNSに子供の写真を載せることや、実親さんにばったり会いそうな場所に行くことなどを控えるようにしていました。

そういうわけなので、学校や児童館、友人にも、配布物やSNSに子供の写真を載せないようにお願いしていました。

ちょっと神経質過ぎたかもしれませんが、正式に特別養子縁組が成立すれば、何も気にする必要がなくなります。成立するまでは、十分注意しながら生活した方が良いと思います。

【普通養子縁組との違い】
実は普通養子縁組も法律上は実の親子と全く同じ扱いを受けることができます。ただし、こちらの場合は実親との親子関係もそのままになります。
実親さんが亡くなれば、相続を受けることができます。もちろん養親からの相続も受けることができます。

また、普通養子縁組の場合は養親と子供の承諾だけで、結ぶことができます。このような特徴があるため、親子関係が無い人に対して、財産を相続したい場合などに、利用されることも多いようです。

特別養子縁組までの流れ

今度は実際に特別養子縁組が成立するまでの流れを、私の場合を例に紹介していきます。

まず、前提として私の場合は、児童相談所を介して、子供を紹介してもらいました。

実際には民間の斡旋団体を利用したり、団体や組織を介さずに個人的に進めたりすることも可能ですが、私自身が経験していない事なので、正直そんなに詳しくありません。

そこで、ここでは私の経験に基づいて、児童相談所を利用した特別養子縁組の流れを説明させていただきますね。

友人の話を聞くと、自治体によって微妙な違いはあるようですが、児童相談所を介した特別養子縁組は、概ねこのような流れで進みます。

  1. 児童相談所に登録
  2. 研修を受ける
  3. 当区別養子縁組里親の認定を受ける
  4. 紹介を待つ
  5. 交流
  6. 委託
  7. 家庭裁判所の審判
  8. 戸籍の登録

詳しく説明していきますね。

児童相談所に登録

まずは児童相談所に登録することから始まります。

登録方法は自治体によって様々なので、詳しくはお住いの地域の児童相談所に問い合わせてみてください。

私が住んでいる地域の児童相談所では、半年に一度、説明会を実施していて、それに参加する必要がありました。

その説明会に参加し、内容を理解して特別養子縁組を希望する人が『特別養子縁組里親』として登録します。

“特別養子縁組里親“と、名前に里親が含まれていますが、養育里親とは別です。

研修を受ける

『特別養子縁組里親』に登録しても、すぐに子供を紹介してもらえるわけではありません。

現時点ではあくまでも”特別養子縁組を希望する夫婦”というだけで、自治体から『特別養子縁組里親』の認定を受ける必要があります。

そのためには児童相談所が指定する、研修を受ける必要があります。

研修には、専門家による勉強会、児童福祉施設での現場研修などがあり、それらを夫婦揃って受ける必要があります。

専門家の勉強会は平日に開催されることが多いのですが、休みを取って話を聞いていれば良いので、なんてことはありません。それよりも私の場合は、児童福祉施設での現場研修が、とても緊張しました。

それまで、子育てをしたことがなく、子供たちとの接し方が分からないというのもありました。

しかし、それ以上に、施設に住んでいる子供たちは、様々な理由があって、親と一緒に生活できない子供たちばかりなので、きっと心に傷があって、受け入れてもらえないのではないかと思っていました。

ところが、実際に行ってみると、どの子も人懐っこくて、大歓迎してくれました。上手な接し方を考える必要など一切なく、ただ求められるままに、フラフラになるまで遊んでいただけでした。

帰る時もみんな残念がって、次に来る日をとても楽しみにしてくれました。

むしろ、自分の方が励まされたのをよく覚えています。

当区別養子縁組里親の認定を受ける

研修を終えると、ようやく『特別養子縁組里親』の認定を受けることができます。

私の住んでいる地域では、認定のタイミングも半年に一度のため、登録申請してから半年で認定を受けることができました。

これでようやく、子供を紹介してもらえるようになります。

紹介を待つ

認定後は子供の紹介を待つことになります。

児童相談所から紹介を受ける場合、これが一番の難関になります。その理由は、単純に紹介される子供の人数よりも、特別養子縁組里親を希望する夫婦の数の方が多いためです。

私は『特別養子縁組里親』の認定を受けた時に、児童相談所の担当の方に、過去の成立数を質問しました。その答えは「昨年は1組ありましたが、毎年必ず子供が紹介できるわけではないんです。ちなみに現在、特別養子縁組里親に登録しているカップルは、30組くらいです。」という驚きの内容でした。

もちろん、子供との相性などを考慮して、最適なカップルに声がかかるので、すぐに紹介される可能性はあるのですが、毎年1組成立するとしても、30年待つ可能性もあるのかと、ショックを受けました。

もちろん、人口が多い自治体の児童相談所の方が紹介される子供は多いのですが、当然、紹介を待つ夫婦の数も多いです。

東京に住んでいる私の友人は、1ヶ月~2か月に1度くらいのペースで、子供を紹介されるものの、他にも複数の夫婦と一緒に選考されるため、何回も落とされて、結局、子供を迎え入れるまで数年かかったそうです。

紹介待ちをしている間、私は今の場所だと可能性が低いのではなないかと悩みましたが、現実的には成立の可能性に地域差はないように思います。

ちなみに私の場合は、5年目で今の息子を紹介されました。紹介する夫婦選びは、あくまでも児童相談所の判断ですが、私は担当者の方に、自己アピールしたことが大きかったと思っています。

もちろん、選んでもらうために利益供与をするなんて絶対ダメですが、選ぶ人も人間なので、やはり、直接話したことがあり、養育する意欲が高い夫婦の方が、選びやすいはずです。それをしていなかったら、今でも待ち続けていたかもしれないと思っています。

具体的にやったことは、こちらの記事に書いているので、良かったらご覧ください。

交流

特別養子縁組候補の子供が出てくると、児童相談所は養親候補を検討します。そして、養親として相応しいと判断されると、子供を紹介されます。

相応しいかどうかは、児童相談所の担当者の判断によるもので、具体的な基準などは公開されていないようです。

ただし、私たちは担当者の方から、選ばれた理由を2つだけ教えてもらえました。

  • 体力的な負担が少ないこと
    紹介していただいたのは8歳の男の子でした。乳児だと寝る間も無く世話する必要があるため、40代後半の私たちの場合、ある程度大きな子供の方が子育てしやすいだろうと判断したそうです。(でも、どんどん体力が付いてくる男の子に付き合うのも大変ですw)
  • 夫婦関係が良いこと
    子供の養育環境において、最も重要なのは夫婦関係が良いことだそうです。児童相談所の方の目には、何よりも私たちの夫婦関係が良好だと映ったそうです。(言われてとても嬉しかったです。妻が私を良い夫と感じているかは不明ですが…。)

他にも、子供を問題無く養育できる収入や居住環境、夫婦の健康状態、親族の理解なども判断材料となります。

紹介されてからは、まず里子として迎える前提で、交流を開始します。交流期間は子供の慣れ度合いによるので、決まった長さは無いです。

私たちの場合は、4ヶ月間、月1回~2回くらいのペースで交流しました。

最初は日帰り、最後の方はうちに宿泊していく形で、徐々に慣らしていきました。

委託

紹介を受けると、迎え入れる意思を確認されます。

この時点では、里親と里子という関係ですが、生活をする上で考えることは、実親と養親のどちらの姓を使うかくらいで、ほとんど違いはありません。子供にとっても里子と養子の違いなど理解できないので、実質的にここから新しい親子の生活がスタートです。

住民票はこの時点で、私たちの”縁故者”として、役所に異動手続きをします。また、それまでの小学校の学区外に引っ越すことになるので、私たちが住んでいる地域の小学校に転校しました。

注意点としては、この委託期間は、児童相談所が子供が健全に養育されているかをチェックするものでもあるため、体罰や食事を抜く、眠らせないなどの虐待行為があれば委託取消になってしまいます。

とは言え、これは実の親子でも絶対やってはいけないことです。あくまでも普通に生活していれば問題ありません。

私たちの場合は、今の息子を8歳で迎えたので、彼は全ての事情を理解した上で、うちに来てくれました。生活環境も友人も、全てが変わってしまうため、精神的にもとても大変だったと思います。最初は癇癪を起こしたり、ワガママになったり、大変でしたが、迎えてから1ヶ月ほどで、私たちのことを”お父さん”、”お母さん”と呼んでくれるようになりました。

今でもワガママばかり言う子ですが、それは私たちに十分甘えることができている証拠かなと思っています。

彼の方が血のつながらない人と一緒に暮らすなんて、よほど大変だったに違いないのに、すっかり私たちの家族になってくれていることに感謝しています。

家庭裁判所の審判

委託後、特に問題無く生活していれば、だいたい半年経った頃に児童相談所から家庭裁判所に申し立ての手続きをするように促されます。

主な必要書類はこのようなものです。

  • 養親の戸籍謄本
  • 子供の戸籍謄本
  • 養親の源泉徴収票(サラリーマンの場合)または確定申告書の写し(自営業の場合)
  • 自宅の図面

源泉徴収票や自宅の図面まで要求されるなんて驚かれるかもしれませんね。

家庭裁判所は子供が健全に養育されるかどうかを判断するために、居住環境や養親の経済状態までちゃんとチェックします。

その他にも、家庭裁判所で書記官と面談して、私たちの子供から現在までの暮らしについて、親族のこと、職業のこと、特別養子縁組を望んだ理由など、様々な事を聞かれます。

また、実際の養育環境を確認するための、家庭訪問もあります。子供が自分の意思を伝えることができる年齢の場合は、本当に養子になりたいかどうかの意思確認を、書記官の方が行います。

すっかりうちの子供として生活しているとはいえ、そこは小学生の子供なので、その日の気分で「こんな家の子供になりたくない!」なんて言い出すのではないかと、ちょっと不安でしたw

また、家庭裁判所の方では、これと同時並行で実親さんの意思確認も実施します。実親さんと面談して、親権を放棄する理由、現在の生活状況などを聞きます。

こうして、家庭裁判所は特別養子縁組を認めた方が良いと判断すると、しばらくして特別養子縁組を認める旨の通知書が届きます。

私たちの場合は、実親さんと家庭裁判所の面談もスムーズに進み、申請から半年足らずで特別養子縁組が認められました。

ただし、私の友人の場合のケースでは、家庭裁判所が実親さんと連絡が取れず、なかなか審理が進まなかったそうです。結局ずっと音信不通のままで、最後は家庭裁判所の権限で、特別養子縁組が認められたそうです。

戸籍の登録

家庭裁判所から決定通知書が届いたら、それを持って自分が住んでいる自治体の役所・役場に行き、戸籍異動の手続きを行います。

戸籍異動の事務作業には少し時間がかかるため、実際に戸籍に子供の名前が載るのは、もう少し後ですが、戸籍異動届が受理された時点で、正式に親子関係が成立します。

またこの際、保険証や児童手当などの手続きも同時に行います。

私たちの場合は、子供を紹介されてから、特別養子縁組の成立まで1年5ヶ月くらいでした。交流から家庭裁判所の審理まで、順調に進んだので、最短でこれくらいと考えて良いのではないかと思います。

注意すべき事

今、自分のこれまでを振り返ってみると、これから特別養子縁組を考えている人たちに伝えておきたいのは、このようなことかなぁと思います。

  1. 覚悟が必要と思い過ぎない
    『どんなに大変でも、子供を育て上げる覚悟を持たなければならない!』そう思うのは大切なのですが、結局、実子じゃない子供を育てるのは、大変に決まっています。私も最初は不安ばかりでしたし、実際に養子を迎えたことを後悔したこともあります。しかし、時間が経つにつれて、不安も後悔も無くなりました。
    人間は成長して慣れることができるので、自分もそうなれると信じることが大事です。
  2. 穏やかに生活する
    特別養子縁組が成立するまでは、自分たちと子供の新しい生活に慣れることに集中する方が良いと思います。SNSで子供の情報を公開したり、慣れないことを子供にさせたりせず、穏やかに暮らした方が良いです。新しいことに挑戦するのは、子供が慣れ、特別養子縁組が成立してからでも、十分間に合うはずです。
  3. 積極的なストレス解消
    親になると、ライフスタイルも変わり、様々なストレスを感じるようになります。子供は親のイライラや不安に敏感なので、ストレスを抱えたままで接すると、親子関係にとても悪影響を与えます。夫婦で協力し合い、子育てから離れてリフレッシュする時間を積極的に持つようにしましょう。

特別養子縁組で一番大変なのは、養子となる子供です。だからといって、親が頑張り過ぎると、心身ともに疲れ果て、ストレスが溜まり、親子関係にも悪い影響が出てしまいます。

私たちも、定期的に夫婦で交代しながら、子供と全く離れて過ごす時間を作っています。この方が、子供に対する忍耐力も強くなります。子供から見ても、機嫌の良い親と一緒にいた方が幸せです。

子供のためだからこそ、肩の力を抜いて、子育てするようにした方が良いと思います。

まとめ

特別養子縁組成立までは、やる事もたくさんありますし、関わる人たちもたくさんいて、色々と精神的な負担もあると思います。

でも、逆に悩みを相談できる人もたくさんいるということです。

私たちも友人だけでなく、児童相談所や子供が暮らしていた施設の人たちに色んなことを相談しました。

困ったことや分からないことがあれば、自分たちだけで抱え込まずに、そのような人たちの助けも借りてみてくださいね。

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