
あなたは東京という場所に、どういうイメージを持っていますか?
東京に住んだことが無い人にとっては、”最先端の情報や流行が集まる”とか”何でも揃う便利な街”、”日本経済の中心地”のような、ポジティブなイメージの方が強いかもしれませんね。
一方、東京に住んでいる人や、住んだことがある人にとっては、”忙しくてストレスが多い”とか”混雑や物価高のせいで、暮らしにくい”、”満員電車や長時間通勤が辛い”なんて、ネガティブなイメージかもしれません。
ちなみに40年近く東京に住んでいた私の場合は、“夏がとにかく暑い!”というイメージです(^_^;)
そんな東京は年々人口が増え続けています。国勢調査の数字によると、2005年から2010年の5年間だけでも、東京、埼玉、神奈川、千葉の1都4県で110万人あまり、人口が増えています。
この人数は広島市の人口と同じです。でも、東京圏の出生率は日本の中でも最低水準なので、増えているのは、ほぼ地方からの転入者です。
いわゆる東京一極集中と呼ばれる現象です。東京への一極集中は地方の衰退を招くとされ、政府も地方振興の政策を取って、対策を急いでいます。
しかし、東京圏の人口増加速度は鈍るどころか、むしろ加速しています。このまま東京一極集中が加速すると、日本社会全体が衰退してしまい、取り返しのつかないことになります。それ程の深刻な問題なのです。
大げさなことを言うって思うかもしれませんが、これって本当なんですよ…。
いったい、なぜ一極集中が問題なのでしょうか?そして、私たちにはどんな対策ができるのでしょうか?
今回は是非、あなたにも知っておいて欲しい、日本の現状をお伝えします。
もくじ
東京一極集中がマズい理由
実は東京圏というのは、世界最大の都市圏なのです。
東京圏の人口は約3,775万人と、2位のインドネシアのジャカルタの3,132万人を大きく引き離して、ダントツの1位です。
国連でも世界一の巨大都市として、認められています。
都市圏には明確な定義はないものの、一般的には中心となる都市と、その周りで影響を受ける地域を指します。
東京を中心とした都市圏(東京圏)の場合は、東京都を中心として、埼玉県、神奈川県、千葉県までを指すことが多い。
『世界一の巨大都市だなんて凄い!さすが経済大国の日本だ。』なんて喜んでいる場合ではありません。
むしろ、日本経済の勢いが失われてしまい、資本や労働者を集中させないと、世界との競争に勝てなくなってきているのです。
こうして、東京一極集中が進むと、次のような問題が起きます。
- 大企業の経済活動が活発になる
- 幸福度が下がる
- 健康寿命が下がる
- 人口は減る一方
東京に住んでいると、このような実感はないかもしれません。
むしろ、今でも新しいビルや施設が作られ、どんどん栄えていくため、そんな危機感は一切感じないのではないでしょうか?
でも、栄えているのは東京圏だけなのです。どうしてこれがまずいのか、簡単に説明しますね。
大企業の経済活動が活発になる
東京にお金と人が集まると、企業の経済活動も活発になります。
これって良いことのように思えますよね?でも、長い目で見ると、これは良くありません。大企業が頑張れば頑張るほど、このようなことが起こります。
- 資源の浪費が進む
- 環境汚染が進む
- 地方の衰退が更に進む
起業は利益を増やすために、商品の生産を大規模効率化します。しかし、物があふれた日本では、昔ほど売れなくなってきています。
そうなると、売れ残った商品が大量に廃棄されます。これは食べ物や電化製品など、全ての物について言えることです。
更には大企業の商品は安くて競争力があります。無駄を出さずに、環境に配慮したビジネスをやっていても、価格競争で負けて淘汰されてしまいます。
こうして、更に資源の浪費が進みます。
大量の廃棄物が生まれると、環境汚染が進みます。
また、起業の経済活動が活発になると、エネルギー消費量も増えます。
原子力発電所が事故を起こせば、甚大な環境被害が生まれることを、私たちは経験済みです。だからと言って火力発電に頼れば、CO2排出によって地球温暖化が加速します。
大企業はグローバルな展開をしているので、当然、日本中に支社や支店があります。
そして、地方で稼いだ売り上げは、東京の本社に吸い上げられます。
また、大企業は競争力があるため、地方の企業がどんどん淘汰されます。
こうして、更に地方の衰退が進みます。
幸福度が下がる
起業の経済活動が活発になると、それに伴い過重労働やストレスの問題が増えます。
また、人口が集中していると、日常生活に欠かせない様々なものが、不足したり不便になります。
渋滞や満員電車、住宅費の高騰、保育所不足、様々な施設の混雑など、様々です。
私が東京に住んでるときは、これが当たり前の日常生活だと思って諦めていました。
しかし、こんな生活を続けていれば、人々の幸福度はどんどん下がっていきます。
健康寿命が下がる
ストレスが多く、劣悪な生活環境で生きていれば、当然健康に悪影響があります。
環境汚染が進めば、それも健康に害を与えるでしょう。
その結果、健康寿命が低下してしまうのです。
医療や介護の助けを必要とせず、自分自身で日常生活を支障なく過ごせる機関のこと。
幸福な人生を送るためには、自立した生活ができることが必要不可欠なため、平均寿命と健康寿命の差が小さいほど、良いとされる。
また、平均寿命と健康寿命の差が小さいほど、健康的な社会であると考えられる上、結果的に医療費も抑えられるため、社会的にも望ましい。
人口は減る一方
起業の経済活動が活発になれば、たくさんの労働者が必要になり、求人が増えます。一方で、地方経済が衰退すれば、求人が減ります。
そうなると、当然、人は地方から東京に流れていきます。
しかし、一極集中が進めば進むほど、東京の生活環境は悪化します。
忙しくて生活に余裕が無く、保育所も不足しているような場所では、安心して子供を産み育てるのは難しいでしょう。
つまり、東京は地方から人を引き寄せて、子供を産み育てられなくしてしまうのです。
まさに人口のブラックホールです。
と、ここまで書くと大企業を悪者扱いにしているように、思えるかもしれませんね。でも、私は悪いのは、大企業なんかではなく、私たち自身だと考えています。
私もつい数年前まで、努力して売り上げを上げること、効率化して利益を増やすことは、正しいことだと考えていました。
日本の将来のことや、地球環境のことなんて、全く考えずに目の前のことだけを頑張っていたのです。きっとそれらの問題は、専門家や学者が対策を考えてくれるとしか考えていませんでした。
しかし、私たち人間の活動は、大きくなり過ぎました。地球の資源は有限なのに、まるで無限大にあるかのように、使い続けています。でも、この勢いで無駄遣いを続ければ、大変なことになるでしょう。
もはや人任せにしておくのは、不可能です。周りに合わせて、今までと同じことをしていると、将来必ず後悔することになります。
では、これから私たちはどうすれば良いのでしょうか?今度は東京一極集中から、地方分散にするために、できることを見てみましょう。
地方分散のためにできること
東京に一極集中するのが問題なのであれば、対策としては地方分散が一番良いわけです。
じゃあ、地方分散ってどうすれば良いのかと言えば、答えはシンプルに次の2つです。
- 地方に移住する
- 地方で起業する
多少収入が落ちて、生活レベルが下がるとしても、地方で仕事を見つけて、そこに移住するのです。
地方で生活すれば、使うお金の大部分は、地方に落とすことになります。
人もお金も地方に移すことができる地方分散の基本中の基本です。
収入が落ちたとしても、様々な面で生活に余裕があり、精神的にも健康な生活ができます。
もっと良いのは、地方で起業することです。
起業すれば雇用を生み出すことができ、地方経済にも貢献できます。
雇用を生み出せるほどの大きなビジネスでなくても、自分の好きな仕事をできるのは、とても幸せなことです。
要は自分が生活する場所を地方にすれば良いわけです。
とは言え、今の日本ではどちらも簡単なことではありません。
地方に移住しても、自分の好きな仕事を見つけるのは、なかなか難しいでしょう。
地方で起業するというのも、簡単なことではありません。
しかし、地方に生活の基盤を移さなくても、できることはあります。
今度はその方法を考えてみましょう。
自分にできることから始める
地方に生活基盤を移さなくても、できることはあります。
それは『東京にお金を渡さないこと』です。
地方分散化のカギになるのは、地域毎に経済的な自給圏を作ることだと言われています。
特定の地域で、生活に必要な物事を自給できるようにすることで、地域内でお金が循環するようにすること。FEC自給圏(F:Food、E:Energy、C:Care)とも呼ばれる。
食料の地産地消が良い例。
他にも、福祉、医療、介護などの分野や、エネルギーなどを自給自足することで、経済循環を地域内で起こし、雇用も生み出すことができる。
このような経済自給圏を作るための第一歩は、自分たちの地域の商品やサービスを購入することです。
そして、東京にお金を渡さないためにできることは、例えばこんなことです。
- 全国チェーンのお店で買い物をしない
- 自炊する
- 地方の品物を買う
どれもお金の使い道を意識するだけで、金銭的な負担もほとんど無くできることです。
それぞれを簡単に説明しますね。
全国チェーンのお店で買い物をしない
一番すぐできることは、全国展開しているお店や企業のサービスを、なるべく購入しないことです。
スーパーとかファミレス、チェーン展開している居酒屋などは、売り上げの一部は、東京に吸い上げられ、新たなビジネスのために利用されてしまいます。
東京に本社があるような企業ではなく、その地域のスーパーや、レストランを利用するのです。
ただし、これは既に地方に住んでる人がやる事です。東京圏に住んでいる人が生活に必要な物を、東京以外の場所で入手するのは、現実的ではありませんよね。
でも、それでもまだ方法はあります。
自炊する
単純な方法ですが、自炊するのは、手軽で良い方法です。
料理の食材のほとんどは地方で生産されたものなので、それを買って自炊して食べれば、地方にお金が渡ります。
外食でも地方の食材を使っていることに変わりないかもしれませんが、払ったお金のうちの原材料費以外は、お店に渡ってしまいます。そのため、自炊を繰り返して、地方に渡るお金を少しでも多くするのです。
地方の品物を買う
ネットショッピングなどで地方の商品を購入するのも良い方法です。
その商品を販売している企業が、自分でショッピングサイトを運営している場合は、なるべくそこから購入します。
有名なネットショッピングサイトの運営会社も、みんな東京に本社があるからです。
また、ふるさと納税もおすすめです。地方自治体はふるさと納税で集めたお金を財源として、地域のための政策を実行するからです。
当然、ふるさと納税の対象にする自治体は、東京圏以外の自治体にしてくださいね。
まとめ
東京一極集中は問題というのは、漠然とご存じだったかもしれません。
でも、問題の理由を知らないと、危機意識って持てないと思います。
実は日本は世界でもトップクラスの、一極集中・地方衰退社会なのです。
それを食い止めるには、一人一人が少しでも、ライフスタイルを変えるしかありません。
理想的なのは生活基盤を地方に移すことです。でも、それはすぐには難しいかもしれません。
それでも、自分のお金の使い道は、自分で決めることができます。
この記事を読んだあなたが、少しでも地方にお金を落としてくれるようになれば、幸いです!